相続税の申告

相続税の申告

改正「贈与税」のしくみ

(6)教育資金の贈与は非課税に!?

これまで、教育資金の贈与には非課税枠がなかったが、今年度の税制改正で、父母又は祖父母等が子や孫(いずれも30歳未満に限る)に対して教育費として一括贈与した資金につき、1,500万円(学校等以外の者に支払われるものは500万円)を限度として贈与税を非課税とする制度が創設された。
要件と概要は、次のとおり。

1. 要件
直系尊属から子又は孫等への贈与で、平成25年4月1日から平成27年12月31日までの間に行われるものであること
信託受益権又は金銭又は有価証券の一括贈与で金融機関の口座で管理されるものであること
教育資金管理契約に基づくものであること
受贈者は贈与を受ける日までに教育資金非課税申告書を金融機関経由で、受贈者の納税地の所轄税務署長に提出すること
受贈者が教育費として支払った領収書等を金融機関に提出して、それを金融機関が確認し、記録、保存すること
領収書は、支払日、金額、支払者(宛名)、支払者の氏名又は名称及び住所又は所在地、摘要(教育費の内容)が明らかにされているものであること
2. 概要
祖父母だけでなく、直系尊属(父母、曾祖父母等)からの贈与が対象になる。養父母は対象になるが、配偶者の直系尊属や叔父・叔母、兄弟は対象にならない。
口座は、受贈者が30歳になった日に締められ、残額がある場合は、その残額をその日に贈与したものとして贈与税が課せられる。また、受贈者が30歳になる前に死亡した場合は、その口座の残額には贈与税は課せられない。
学校等には次のものが含まれる。
・幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校
・大学、大学院
・高等専門学校
・専修学校、各種学校
・保育所、障害者通所支援事業が行われる施設、家庭的保育事業が行われる施設市町村が認定する児童保育事業、認定こども園
・外国にある日本の学校に相当する学校
・インターナショナルスクール等外国の施設のうち一定のもの
・水産大学校、海技大学校、海上技術短期大学校、海上技術学校、航空大学校、国立看護大学校
・職業能力開発総合大学校、職業訓練法人が設置する職業能力開発大学校・職業能力開発短期学校・職業能力開発校・職業能力開発促進センター、障害者職業能力開発校
対象となる教育費には、入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費、教育充実費、修学旅行、遠足費などで、学校等からの領収書があるもの(保育所の保育料で市町村の領収書があるものを含む)が該当し、このうち、学校等に支払ったものが1,500万円の非課税枠の対象になる。
業者などに支払ったもの(教科書代や学用品費、修学旅行費、学校給食費など)は対象にならないが、学校の教育に必要な費用で学生等の全部又は大部分が支払うべきものと学校等が認めたものは、500万円までの非課税の対象になる。
500万円までの非課税の対象には、上記二の他、次のような費用が該当する。
・塾や習い事など学校等以外の者に支払われる月謝、謝礼、入会金などの費用や施設利用料
・塾や習い事で使用する物品の費用で指導を行う者を通じて購入するもの(個人で購入したものは対象外)
塾や習い事の費用等は500万円を上限に教育費に含められ、これを合わせて総額1,500万円までが非課税となる。