改正「贈与税」のしくみ
(3)税率はこうなった
贈与税の税率は、1. 特例贈与と2. 一般贈与に分けられ、次のように別々の税率が適用されることとなった。そして、最高税率が50%から55%へと上げられた。
1. 特例贈与
現行の税率 |
特例贈与の税率 |
区分 |
税率 |
区分 |
税率 |
200万円以下の金額 |
10% |
同左 |
10% |
300万円以下の金額 |
15% |
400万円以下の金額 |
15% |
400万円以下の金額 |
20% |
600万円以下の金額 |
20% |
600万円以下の金額 |
30% |
1,000万円以下の金額 |
30% |
1,000万円以下の金額 |
40% |
1,500万円以下の金額 |
40% |
- |
|
3,000万円以下の金額 |
45% |
1,000万円超の金額 |
50% |
4,500万円以下の金額 |
50% |
- |
|
4,500万円超の金額 |
55% |
2. 一般贈与(これまでの贈与)
現行の税率 |
改正後の税率 |
区分 |
税率 |
区分 |
税率 |
200万円以下の金額 |
10% |
同左 |
10% |
300万円以下の金額 |
15% |
同左 |
15% |
400万円以下の金額 |
20% |
同左 |
20% |
600万円以下の金額 |
30% |
同左 |
30% |
1,000万円以下の金額 |
40% |
同左 |
40% |
- |
|
1,500万円以下の金額 |
45% |
1,000万円超の金額 |
50% |
3,000万円以下の金額 |
50% |
- |
|
3,000万円超の金額 |
55% |
この表を見ると、
1. 最高税率は上がったが、多額の贈与をするには、改正後は有利である
2. 特に、特例贈与は有利である
ことがわかる。事例で確認してみよう。
(例)1,610万円を贈与する場合
現行の贈与 |
改正後の特例贈与 |
改正後の一般贈与 |
(1,610万円-110万円)×50%-225万円=525万円 |
(1,610万円-110万円)×40%-190万円=410万円 |
(1,610万円-110万円)×45%-175万円=500万円 |
現行の贈与税の速算表
基礎控除、配偶者控除後の課税価格 |
税率 |
控除額 |
200万円以下 |
10% |
- |
200万円超 300万円以下 |
15% |
10万円 |
300万円超 400万円以下 |
20% |
25万円 |
400万円超 600万円以下 |
30% |
65万円 |
600万円超 1,000万円以下 |
40% |
125万円 |
1,000万円超 |
50% |
225万円 |
改正後の特例贈与の贈与税の速算表
基礎控除、配偶者控除後の課税価格 |
税率 |
控除額 |
200万円以下 |
10% |
- |
200万円超 400万円以下 |
15% |
10万円 |
400万円超 600万円以下 |
20% |
30万円 |
600万円超 1,000万円以下 |
30% |
90万円 |
1,000万円超 1,500万円以下 |
40% |
190万円 |
1,500万円超 3,000万円以下 |
45% |
265万円 |
3,000万円超 4,500万円以下 |
50% |
415万円 |
4,500万円超 |
55% |
640万円 |
改正後の一般贈与の贈与税の速算表
基礎控除、配偶者控除後の課税価格 |
税率 |
控除額 |
200万円以下 |
10% |
- |
200万円超 300万円以下 |
15% |
10万円 |
300万円超 400万円以下 |
20% |
25万円 |
400万円超 600万円以下 |
30% |
65万円 |
600万円超 1,000万円以下 |
40% |
125万円 |
1,000万円超 1,500万円以下 |
45% |
175万円 |
1,500万円超 3,000万円以下 |
50% |
250万円 |
3,000万円超 |
55% |
400万円 |
なお、同じ年に一般贈与と特例贈与がある場合の贈与税の計算は、次のようにすることとなる。
1. 一般贈与について贈与税額を計算する(A)
2. 特例贈与について贈与税額を計算する(B)
3. 一般贈与の贈与税額を次の算式に基づいて按分する
(A)×一般贈与財産の価額÷その年中に贈与により取得した財産の価額の合計額(a)=(C)
4. 特例贈与の贈与税額を次の算式に基づいて按分する
(B)×特例贈与財産の価額÷(a)=(D)
5. 納めるべき贈与税額は3で求めた金額と4で求めた金額の合計額になる。
納めるべき贈与税額=(C)+(D)