相続税の申告
改正「贈与税」のしくみ
(4)配偶者に贈与するのはトク!?
配偶者に対してはおトクな贈与がある。
「贈与税の配偶者控除」という制度であるが、婚姻期間が20年以上の夫婦に対して、1回限り、2,000万円分の居住用不動産が無税で贈与できるという特典が認められている。
適用を受けるための要件は、次のとおり。
1 | 結婚した日から贈与の日までの期間が、20年以上であること |
2 | 贈与財産は、国内にある居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭であること |
3 | 贈与を受けた配偶者が、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその居住用不動産に住んでいること |
4 | この特例の適用を受ける旨の贈与税の申告書を提出すること |
なお、「居住用不動産を贈与するのと金銭を贈与するのとどちらがトクか」という質問をよく聞くが、この場合の不動産の価額は、取引時価ではなく、相続税評価により行うこととなっているので、通常は、取引時価より相続税評価の方が低いことから、不動産を贈与する方が有利となるケースが多い。
また、土地と建物のどちらから贈与するのがいいかというご相談も受けるが、価値が下がる建物より、価値が下がりにくい(上がるかもしれない)土地から贈与したほうが有利といえる。
なお、非課税とされる金額は、最高2,000万円だが、贈与税の非課税枠が110万円別枠であるため、合計2,110万円まで、非課税で贈与することができる。
結婚20年を過ぎたら、検討してみてはどうだろう。ただこの規定、夫婦共に財産が多い場合には、メリットがない(その財産に相続税がかかる)ので、やめておいたほうがよい。