相続税の申告
改正「贈与税」のしくみ
(5)住宅取得資金の贈与にはメリットがある!?
父母や祖父母からの住宅取得資金の贈与には、メリットがある。
「住宅取得等資金の贈与税の非課税」という制度であるが、居住用不動産の取得又は増改築のための金銭のうち一定金額が非課税になるという制度である。子供や孫が家を建てたいと言ったら検討してみてはいかがだろうか。
要件は、次のとおり。
1 | 原則として日本に住所を有していること |
2 | 贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であること |
3 | 贈与を受けた者のその年分の合計所得金額が、2,000万円以下であること |
4 | 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、居住用不動産(増改築)を取得等して、そこに居住すること |
5 | 配偶者や親族などからの取得等でないこと |
6 | 一定の要件を満たす家屋もしくは増改築であること |
7 | 平成24年1月1日から平成26年12月31日までにした金銭での贈与であること |
8 | この特例の適用を受ける旨の贈与税の申告書を提出すること |
非課税となる金額は、住宅の種類と贈与を受けた年分によって、次のようになっている。
贈与年分 住宅の種類 |
平成24年 | 平成25年 | 平成26年 |
省エネ等住宅 | 1,500万円 | 1,200万円 | 1,000万円 |
上記以外 | 1,000万円 | 700万円 | 500万円 |
ちなみに、この規定は、通常の贈与又は相続時精算課税制度の贈与のいずれかと併用して適用することができるので、たとえば、平成25年に親から子へ2,000万円の金銭を贈与して、省エネ等住宅等を取得して、この規定と通常の贈与を受けるということであれば、2,000万円から1,310万円(この規定の非課税金額1,200万円[平成25年度]と通常の贈与の非課税金額110万円との合計額)を控除した690万円に対して贈与税が課税されることとなる。
なお、この特例は、贈与者が死亡した場合でも、非課税とされた部分の金額は、相続時精算課税制度又は通常の贈与のどちらを選択していた場合であっても相続税の対象にならないというメリットがあるので、活用できるようであれば活用するとよい制度である。