相続・事業承継対策
信託を活用した相続対策
(4)遺言信託と遺言代用信託の違い
1. 遺言信託とは
遺言信託とは、遺言により信託を設定するもので、遺言者(委託者)が信頼できる者(受託者)に対して、自己の財産(信託財産)を目的(信託目的)にしたがって、管理・処分等する旨を遺言書に記載し、遺言者の死亡によって信託が有効になるものである。
遺言の形式は、特に定められていないので、自筆証書遺言でも公正証書遺言でもいいが、遺言に不備があると無効になるので注意したい。
また、遺言なので、必ずしも実行されるという保証はなく、受託者が拒否したりすると実現できなくなるので、その点にも注意が必要である。
なお、ここでいう遺言信託とは、信託銀行等が行っている遺言書を作成・保管・遺言の執行を行う遺言信託とは別物なので、区別しておいていただきたい。
2. 遺言代用信託とは
遺言代用信託とは、遺言ではなく、信託契約によって信託を設定するもので、信託契約締結の時からその効力が発生することから、生前信託とも呼ばれているものである。
遺言信託に比べると確実性があるので、必ず実行させたいという場合は、遺言信託ではなく、この遺言代用信託を使うとよい。
信託の内容は、委託者の生存中は自らが受託者となり、委託者が死亡したときに指定する者に信託の受益権を承継させるというもので、遺言信託と変わるところはない。